患者中心の看護を実践するために 2
人は危機にあるとき、そこに新しい始まりをみるとボルイは言います。
そうしたエネルギーを信頼するのです。
危機は、患者自身が乗り越えねば解決しないのであり、乗り越えられる様に援助するのが、医療従事者の役目だからです。
ずいぶん前の出来事ですが、いつまでも私の心にひっかかっていることがあります。
それは、小さな研究会でのこと。
看護者に理解があると言われている一人の医師が、
「看護者は、患者の身体的精神的援助をするというが、もし夫婦げんかをして悩んでいる患者がいたら、
援助相手に会ってその仲裁もするのか」と質問しました。
一同、長い間沈黙が続いた後、ある看護者は、「ええ、そうです。」と答えました。
そして「看護者はいくつ体があっても足りないほど大変なんだねえ。」と言う、その医師の言葉で、研究会は終わりました。
私は何度も発言しようとしたのですが、内容に確信が持てないままついに発言できなかったからです。
援助行為とは、仲裁するという行為ではなく、悩んでいる患者の心に働きかけ、問題に立ち向かうことができるよう、その心を鼓舞激励することなのです。